情報通信技術(ICT)分野で地域一番を目指し、「地域から必要とされる会社」を目指している八戸市のサン・コンピュータ。経営理念に「夢の実現集団を目指す」、社是に「親和創造」を掲げ、ソフトウエアの設計開発、ネットワークの構築などを手がけてきた。会社や業界の現状、福利厚生の充実などについて、代表取締役社長の三浦克之氏(63)に聞いた。(聞き手・水野大輔)
―会社や業界の現状は?
最近、会社で力を入れているのは、AI(人工知能)やRPA(ロボティックプロセスオートメーション=ロボットによる代行・自動化)、最小限のソースコードで超高速でソフトウエアを開発する「ローコード開発」の仕事だ。地元自治体や関東地方の建設関連の仕事をしており、近年の売り上げは、コロナ禍前に戻った状況だ。
コロナ禍の前後で経営環境が大きく変わった。出社するのが当然の仕事のスタイルから、リモートの導入によって、フィリピン人社員が故郷で仕事をしたり、夫の県外転勤で退職せざるを得なくなった女性社員が仕事ができるようになったりした。働く環境としては劇的変化があったと思う。
業界は、デジタル技術によってビジネスや市場の要求を満たすDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などもあり、コンピューターを使った仕事がまだまだあるだろうし、今後も伸びていくだろう。
―AIなどの今後をどうみる。
働き方改革などもあり、生成AIの一種であるチャットGPTなど、ICTを使って仕事の課題を解決する動きはどんどん広がるだろう。
例えば、スーパーゼネコンでは画像AIで設計したり、チャットGPTを使って事務や企画の仕事を3割以上効率化したり、ハウスメーカーではボルトの設計など、これまで熟練の技だった仕事をAIにやらせたりといった事例もある。
将来的に、プログラム開発といった仕事をAIが担うことにはなるだろうが、業務の取りまとめなど“リアル”な仕事は人間でないとできない。意思決定は、確率で済まされない世界であり、人間の役目だ。
コロナ禍でリモートワークが進み、遠い九州の顧客らを相手にウェブ会議などで交渉ができるようになった半面、新規開拓のための飛び込みなど、対面での営業は難しくなった。
―自社で力を入れていることは。
2020年に「ラリーチケットシステム」の特許を知的財産戦略として取得した。イベントのチケットの購入から使用まで非接触でできる「Burarin(ぶらりん)」として、北海道から福岡県まで展開しており、全国各地から問い合わせが来ている。東京・銀座に進出し、システムを活用して、安価で気軽に飲食できるところまで持っていくのが夢だ。
福利厚生の充実にも力を入れており、職場の癒やしとして、犬や猫、リス、ミーアキャットなど「動物社員」を採用したほか、移動会議室として使えるキャンピングカーも購入して、週末には社員に貸し出しており、大変好評だ。
―今後については。
IT(情報技術)には将来性があり、わが社がきちんとした立ち位置に立っていけば、今後も地域に貢献していけると思う。首都圏などへの人材流出が問題と捉えており、この地域で生まれた若い人が帰ってくる場をつくりたいと思う。
地元自治体には、地元への積極発注など地場企業を大切にする施策の充実をお願いしたい。価格勝負も理解できるが、地元経済への効果は大きいはず。このままでは寂れていくのは目に見えており、劇的なことをやってこの地域を浮上させてもらいたい。